南国で貧しく生きていく

●ヤスミン・アフマド「ムクシン」。渋谷のイメージフォーラムで。映画的にここが絶妙というものはないが、マレーシアの田舎で少年と少女がデートをしているのがそのままの素朴さで映されているだけで、素晴らしかった。というか登場人物の素朴さ、自然さというのは、手法を駆使して映画をつくるより、難しい気もする。武田百合子の「富士日記」みたいな意味で。マレーシアはのんびりとした国でいい。芝生に子どもたちが集まってガバディーみたいな遊びや、結婚式ごっこをしていて、デートも凧揚げとか、木登りとか、散歩とか、遊びとの境界が曖昧で、12歳の少年と10歳の女の子の初恋が素朴に描かれているのが自然に感じるのは、そこがマレーシアだからか。

マレーシアとか、フィリピンの映像を見るたびに、こういうところに生まれて生きていたらよかったと思う。南国で貧しく生きていく。主人公の女の子の父親は、1000円のチープカシオの時計をしていた。

後払いで買ったソファーの支払いを3ヶ月していなくて、業者の青年たちが回収にくる。主人公の女の子がそこに寝ている。楽しそうに、ソファーを持っていくなら、私ごと持っていっていい、と青年たちを挑発する。

 

●イメージフォーラムに行こうとして、アップリンクにの方に歩いて行ってしまうというミス。これで二度目。この二つの映画館は駅をくぐって反対側だから、この日差しのなか、引き返すのは辛かった。厳密にいえばこのあいだは逆だった。前回はアップリンクに行こうとして、イメージフォーラムの方に行ってしまった。去年の夏だった、そのときは時間もギリギリで、全力疾走で走ったから、劇場について、ポカリを一本飲み干してから汗だくで「アンダーザシルバーレイク」を観た。汗で全部出てくれて、映画中にトイレに行かずに済んだのを覚えている。

 

●10分も歩けば、Tシャツが汗だくになる。家では、ユニクロの速乾性のTシャツを着ているが、快適だが、やめたい。映画では汗だくの薄汚れた服をみんな平気でずっと着ている。そうありたい。