東京にも雪は降るんだった

朝、五反田のドトールの2階にいたら窓の外で雪が降りはじめた。細かくて速い速度で落ちていた。天気予報を見ていなかったのでドトールの柱が遮ることのない横に長い窓の開けた景色が好きなのだがその窓の外が突然雪だった。雪が降るとはまったく思っていなかった。雪が降る存在も忘れていた。東京にいると雪が降ると嬉しい。積もらないうちに自転車で家に帰らなければならない。白いビルより、茶色いビルの方に降る雪を見たほうが、降り方がいかにも雪らしい。その茶色いビルだけを見ているとそこだけ北海道の景色に見える。北海道には一回しかいったことがないが、冬の北海道を思い浮かべるときは、たいてい駅前の雪景色で、そこに立っているビルはだいたい想像では茶色い。

 

雪はすぐにやんで、しばらくすると上からロープが降りてきた、白いロープと水色のロープが上から下ろす人が何かを迷っているみたいにそろそろと降ろされり少し引き上げられたりまた降ろされたりした。そのうちブランコの紐みたいに左右をぶらぶらと揺れはじめた。ビルの多分屋上から垂らされているので、大きくゆっくりと揺れていた。待っていれば窓拭きの人が降りてくる。友達がいっていたアイドルグループの同じファンで窓拭きをしている人がいるという話を聞いたことがある。窓拭きは結構稼げるらしいがその人は稼いだ金の大方をそのグループにつぎ込んで、さらには借金までしていた。同じアイドルグループのファンの女の子と付き合っていた。友人は窓拭きの男は好きだが窓拭き男の彼女は嫌いだと言っていた。

 

窓拭きの男二人が同じタイミングでブランコに乗って(見た目はまさにブランコだった)窓の外にあらわれた。手際が素晴らしく横一列の窓が一瞬で磨かれた。窓というものはあんな瞬間、2分もかからない時間で綺麗にされていくものなのか。